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第105回 【コラム】ピルに関する誤解
昔使われていた高用量や中用量の話だったり、友達が話していた噂話に惑わされて治療の選択肢を狭めてしまうのは、もったいないな〜と感じます。ピルについてよくある誤解をいくつかご紹介してみます。
情報更新日 2005年6月7日

 最近は、ピル外来に「ピル希望」と言って受診してくださる方も増えてきました。ピル外来にいらっしゃる方はほとんどが避妊目的かな、と思っていたら、結構「ニキビが綺麗になるって聞いて」とか「生理痛を軽くしたくて」といった、副効用目的の方も多いんですよね。実際、クリニックでピルを処方している方の7〜8割は避妊以外の効果を利用して治療目的でピルを使っています。とは言え、ピルなんて全然考えてもいなかった月経痛やPMSや子宮内膜症の方に、治療法の選択肢としてこちらからピルをお勧めしても、いろ〜んな偏見や好い加減な情報に惑わされて強く抵抗を示される事もしばしば・・・「絶対楽になるから!」とお勧めしてはみますが、ご本人が希望されない限り漢方など他の治療で様子をみる事になります。やっぱり、一番大切なのは本人が納得して治療する事ですからね。
 でも、皆さんのピルに関する不安を伺っていると、ほとんどが誤解なんですよね。先行しているイメージだとか、昔使われていた高用量や中用量の話だったり、友達が話していた噂話に惑わされて治療の選択肢を狭めてしまうのは、もったいないな〜と感じます。よくある誤解をいくつかご紹介してみますね。

  1. ピルは副作用が恐い
     健康なタバコを吸わない妊娠可能年齢の女性であれば、ピルによる重大な副作用の心配はほとんどありません。ピルは薬ですから副作用がゼロとはいえませんが、よくあるマイナートラブルの不正出血と吐き気も、出現頻度は2割程度なんですね。しかも、飲み初めの1週間〜長くても2ヶ月程度に感じるもので、飲んでいるうちにほとんどの症状が消えていきます。ちなみに、私は飲み始めに一切副作用がなかったので、PMSも月経不順もニキビも改善していって、本当に快適なスタートでした。

  2. ピルで癌になる
     これも大きな誤解です。低用量ピルでは癌のリスクは増えません。特に心配されている乳癌に関しては、15年の服用でもリスクは増えないというデータが出ているんですよ。むしろ、子宮体癌や卵巣癌に関しては確かな予防効果が認められているくらいですから、癌が心配ならむしろピルを飲んでおいた方がいいんですね。

  3. ピルを飲むと将来不妊になる
     最近は、不妊症の治療にピルを使うこともあるくらいです。ピルは将来の不妊のリスクを減らしてくれます。もちろん望まない妊娠を防ぐからと言う事もありますし、卵巣の良性腫瘍や骨盤内感染症を防ぐ働きもあるので、不妊の原因となる病気そのものを防いでくれるんですね。ピルを飲んでいる間は妊娠しませんが、飲むのをやめたら大体1〜3ヶ月以内に自分の月経が戻りますから、その後はいつでも妊娠可能な状態になります。低用量ピルが毎日きちんと飲まなければいけないといわれているのは、そのくらい含まれているホルモン量が少なく、体からお薬の成分がすぐに抜けていってしまうからなんですよ。だから、ピルを長年飲んでいたら体に成分が蓄積するかも、なんて心配は無用です。

  4. ピルは太る
     これは中用量ピルによる体重増加という副作用の情報の名残だと思いますが、低用量ピルで太ることはありません。ピルによって体調がよくなったり、食欲が増したりして、食べる量が増えればもちろん体重も増えますが。今まで通りの食生活や運動量なのに、ピルのせいだけで太るという事はありませんからご安心くださいね。実際、私の場合、3年前にピルを飲み始めたときの体重より、今の方が約6キロ減っていますから。

  5. ピルは高い
     確かに、低用量ピルは保険が効きませんから、中用量ピルなどに比べたら高くなります。それでも、1か月分がせいぜい2000円〜3000円なんですよ。「自費」と聞くと1ヶ月5000円くらいを想像される方が多いようですが、実際はそこまで高くはありません。日々のお化粧品代やサプリメント代と比べてみれば、ピルが極端に高いものではないことが分かっていただけると思います。

  6. ピルを飲むと生理が止まる
     これは、実に多い勘違いなんですが、ピルは「排卵」を止めるものであって生理を止める薬ではありませんから、毎月生理はちゃんときます。ピルの種類によっては、出血量が普段の生理より少なめになることはありますけどね。むしろ、飲んでいるうちに28日周期に整ってくるので、いつから出血が始まるか、前もって計算できて非常に便利なんです。私なんて、舞台のリハーサルや本番のスケジュールに合わせて生理がくる日をコントロールしたり、長いオペに入る時に生理に当たらないようにずらしたりしてました。今でも、旅行の日程などに合わせて前もって微調整してるんですよ。生理に振り回されない毎日って、本当に快適です。

  7. ピルはめんどくさい
     確かに、ピルは毎日きちんと飲まなければいけないものですが、1日1錠ほぼ一定の時間に飲むだけですから、1ヶ月もすれば自然と習慣になってしまいます。個人的には、1日3回飲む漢方の方が、結構大変でした。朝食の時とか、夜寝る前とか、自分の生活習慣にピルタイムを取り込めば、さほど面倒なものでもないんですね。ちなみに、私はピルを常にお化粧ポーチに入れておいて、朝お化粧し始める前に飲むようにしています。丸一日スッピンで過ごす事なんてまずないですから、一日のうちどこかでお化粧ポーチを開く事になるんですよね。

 低用量ピルは、日本ではまだ認可されて5年しか経っていませんが、海外では40年以上も使われている非常に安全な薬なんですね。なぜ安全かと言うと、避妊を目的に作られたものなので、「健康な女性」が飲むことを前提に安全性が検証されているからなんです。つまり、健康な人が飲んで万が一害があってはいけないから、少々の副作用も治療効果が高ければよしとしましょう、という治療薬と比べてはるかに厳しいチェックをしてきているんです。
 少なくとも、今避妊が必要なのにきちんと避妊できていない方と、明らかな内膜症がある方には、とにかく一度ピルを試して欲しいと思います。周りにも、同じような誤解をしている人がいたら、ぜひ正しい知識を伝えてあげてくださいね。

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