| 卵巣の腫瘍には大きく分けて良性のものと悪性のものがあります。悪性のものというのは、要するに「卵巣癌」です。
良性の卵巣腫瘍は、「卵巣のう腫」と言って、単純にお水がたまっているものや、ねばねばした液体が入っているものや、「充実性」といってゴムみたいな塊になっているものなど、色んなタイプがあるんですね。
ほとんどの良性腫瘍は、良性のまま大きさが変わらないか、時間とともに少しずつ大きくなっていくかなんですが、稀に時間が経つにつれて「悪性化」が起きてくるものがあります。
悪性化とは、読んで字のごとく初めは良性だったものが途中で悪性に変化してしまう事なんです。画像上、つまり超音波やMRIなどで良性と考えられるために定期的な検査で様子を見ていたら、急に大きくなり始めて腫瘍マーカーの数値が上がってきた、というケースが数例ですがあるんですよね。
もちろん、頻度としてはとても低く、特に20代や30代の方の卵巣のう腫が悪性化するということは非常に稀です。
じゃあ、どんな場合に「悪性化」しないうちに卵巣の腫れを手術でとっておいたほうがいいのかと言うと、「40歳以上」で「腫瘍の直径が4センチ以上」のチョコレートのう腫か成熟奇形腫です。
特に、内膜症性のチョコレートのう腫は、40歳以上で4センチ以上あると4〜5%の方に悪性化を認めるというデータもあるので、閉経が近づいてきた段階で手術をオススメする事が多くなってきました。
手術に対して割と抵抗がなく受け入れてくださる方もいらっしゃいますが、大半の方は手術そのものをできれば避けたいとおっしゃいます。もちろん、不要な手術は医療者側としてもしたくはないんですよ。
ただ、医師が手術を勧める場合、「それなりの理由」があることが多いという事をご理解いただけたらな、と思うんです。私たちは常に、手術をした場合のデメリットと手術をしないで悪化した場合や悪性化した場合のデメリットとどちらが大きいかを考えながら治療法をお示ししているんですね。
子宮筋腫も卵巣のう腫も、良性のものですから基本的には直接体に害を及ぼす事はありません。でも、筋腫の大きさや場所によっては生理の量がものすごく増えて貧血になったりお腹の圧迫症状が出ることもありますし、卵巣のう腫も「茎捻転」と言う状態になるとものすごい激痛に襲われたりすることもあります。
そして、卵巣の腫れのごく一部は「悪性化」を起こす事があるんだってことは、知っておいていただきたいなと思います。
ただし、そのことでむやみやたらと「未来の心配」をする事はかえって健康の妨げになります。前述の「条件」に当てはまっていなければ、「私は手術しなくていいんだろうか・・・」なんて心配も無用ですからね。
治療方針は「自分で」選んで決める時代になってきています。病気についても治療法についても、きちんと自分の納得のいくまで説明を聞いて、ちゃんと自らの判断で方針を決めたり医師と相談できるようにしておきましょう。
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