なぜ避妊しないの?
とある掲示板を拝見していると、
「生理が遅れているんだけど妊娠でしょうか」
「避妊に失敗したみたいで、妊娠していないか不安」
「生理予定日なのに出血が来なくて、なんだかつわりっぽいし・・・」
と言った、いわゆる「妊娠不安」の書き込みが結構目に付きます。
さらに、
「妊娠したんだけど産むべきかどうか迷ってます」
「自分は産みたいんだけど周りが反対していて困ってます」
「中絶すべきなんでしょうか」
と言った書き込みも、結構あるんですよね。中絶後の自己否定・自己嫌悪いっぱいの書き込みも目立ちます。
これらって、全部「確実な避妊」をしていれば防げる事なんですよね。
自分でどうしようもない事は、ある意味受け容れるしかないものもありますが、少なくとも「妊娠不安」も「望まない妊娠」も「中絶」も、自分の意識と行動次第で確実に防ぐ事が出来るんです。
こういった不安や迷いを持つ方に、「その不安は全て自分自身が作り出しているものです」
とお伝えするのですが、真意を理解してくださる方は半分以下のように感じています。
不安を抱えるのがイヤだったら、不安にならないように行動すれば良いんですよ。とても簡単で、単純な事なんです。でも、その簡単な事が出来ないから、たくさんの方が悩んでらっしゃるんですよね。
診療の現場にいると、「完全に中立の目」を保ち続けるのが難しくなる事があります。つまり、ついつい「批判の目」を持ってしまいがちなんですよね。その方の無責任な行動の結果がやってくるわけですから、ものすごく冷たい言い方をすれば「自業自得」という意識を持ってしまいそうになるんですよ。
セックスをすれば、妊娠する事があるのは当然のこと。それを分かっていてセックスするなら、自分の手で確実な避妊をするのが当たり前のマナーです。それが出来ていない方に対して、私は「裁きの目」持ってはいけないんです、本当は。人は人を裁く事は出来ません。人は神ではないんですからね。
人間ですから、誰だって失敗はありますし、そこから学ぶことはたくさんあります。
望まない妊娠だって、10代の出産だって、シングルマザーになることだって、何ひとつ無駄な経験ってないんです。だから、本当は、その人の抱えた問題を、共有もせず批判もせず、ただサポートしながら「眺める」のが一番なんですよね、多分。
それでも、やっぱり、防げるものは防いで欲しいと思うし、同じ不安を抱えて欲しくないと思うので、ついつい「何でピルを飲まないの?」「何で相手任せにするの?」と言ってしまいます。
これまでの自分の行動を「否定」はして欲しくないけれど、「反省」はして欲しい。何がいけなかったのか、なぜ自分がそういった行動をとったのか、きちんと見つめ直して、そして今後どうすれば良いのか考えて欲しい。いつも、そう思わずにはいられないんです。
でも、実際は多くの方が「のどもと過ぎれば」なんですね。
コンドームが外れて避妊に失敗したにもかかわらず、不安な1ヶ月を過ごした後に月経が来ると、「今度から気をつけて使います!」なんて言われてしまう事もしばしば・・・コンドームでは確実な避妊は出来ないという言葉は、きっとスルーしちゃってるんだろうな〜、なんて。
望まない妊娠に限らず、性感染症も同じです。
コンドームを使わなかったり、複数の相手と関係を持ったり、全て自分でリスクを高めているのにもかかわらず、実際に感染してしまうと「辛いんです・・・」と悲劇の主人公になってしまいます。
もちろん、パートナーが一人でも性感染症にかかることはあります。コンドームで防ぎきれない感染症もあります。だから、セックスをしている限り、性感染症にかかるリスクはゼロには出来ません。セックスをするなら、それを分かった上でするしかないということなんですよね。
日本は中絶大国と言われています。先進国の中で、唯一、コンドームに頼って避妊をしている国なんです。
さらに、先進国の中でこれまた唯一、HIV感染者数が増え続けている国でもあります。1日3人の新たな感染者が出ている現状を、私たちはどう受け止めれば良いのか、迷うこともしばしばあります。





2003年4月に広大産婦人科に入局。広大附属病院産婦人科、国立呉医療センター産婦人科を経て、現在は東京のクリニックに勤務しています。産婦人科をベースに女性医療を実践できるよう、色々勉強しているところです。







